DMの法則 (2) [正しいインドネシア語]
インドネシア語の文における、語の構造を見てみることにしよう。
Amir yang bekerja di kantor pos itu adikku yang bungsu.
D M
「その郵便局で働いているアミルは、私の末の弟だ」
D(被修飾) M(修飾)
Amir yang bekerja di kantor pos itu adikku yang bungsu.
D M D M
「その郵便局で働いている アミルは、私の 末の弟だ」
M D M D
yang bekerja di kantor pos itu
D M
「その郵便局で 働いている」
M D
di kantor pos itu
D M
「その 郵便局で」
M D
kantor pos
D M
「郵便 局」
M D
つまり、この例にもとづくと、インドネシア語における語句の構造は、一般にDMの法則に従っていることがわかる。そのため、我々が句(語の集まり)を形作るとき、いつもこの規則に注意を払わなければならないのである。インドネシア語には kantor 「会社、役所」という語がある。 kantor には、いろいろな種類がある。ある kantor を別の kantor と区別する語は、その kantor という語の後ろに置くことになる。なぜなら、その語は kantor に対する特徴 atribut (修飾keterangan) という性質を持っているからだ。したがって、 kantor という語はD(被修飾部)であり、2番目に置かれる語はM(修飾部)になる。
例:
kantor pos 「郵便の役所=郵便局」
kantor dagang 「商業事務所」
kantor rektor 「学長の事務所」
kantor polisi 「警察署」
kantor gubernur 「知事の事務所」
kantor tata usaha 「経営事務所」
最初の文は、ふつう日本語では「被修飾-修飾」ではなく「主語-述語」といいますが、ここでは原著どおり、すべてD=被修飾、M=修飾としておきます。
ごらんのように、インドネシア語と日本語は、語順がほぼ正反対となります。
被修飾語(D)=大事な部分なので、インドネシア語のように大事な部分(D)が前にくる言語を、head-initial language 「主要部先行言語」、日本語のように大事な部分(D)が後ろにくる言語を、head-final language 「主要部後行言語」と呼びます。
インドネシア語や日本語は、それぞれの特徴がかなり厳格に守られていて、言語学の教科書でも head-initial と head final の代表例としてよくあげられます。
英語は、インドネシア語と同じ head-initial (DM型)に含まれますが、インドネシア語に比べて例外 (head-final)が多いです。
例えば、
the boy who is running there (DM)
the boy in the room (DM)
the running boy (MD)
the Japanese young boy (MD)
by jaman (2005-10-21 23:24)
DMではなく日本語訳についてお尋ねしたいのですが、
adikku yang bungsu = 私の末っ子 でしたら
anakku yang bungsu をどう訳したらいいでしょうか。
by sandy (2005-10-21 23:30)
まちがえました。「末の弟」「一番下の弟」ですね。
by jaman (2005-10-22 00:00)