DMの法則 (3) [正しいインドネシア語]
ときどき、外国語から用語を翻訳しようとするときに、この規則(DMの法則)の違反が生じることがある。すなわち、その外国語が、先にあげたオランダ語や英語のようなMDの法則として知られている言語だった場合である。
かつてオランダ語で postwissel と呼ばれていた物は、インドネシア語でposwesel 「郵便為替」になった。つまり、その二つの部分からなるオランダ語の複合語は、 post 「郵便(pos)」と wissel 「交換(tukar)」が翻訳されて*tukar pos になることはなく、あるいは wesel pos になることもなく(wisselという語は、インドネシア語の音韻・発音規則に従って形が変わる)、つづりが変わっただけで、単語本来の形のままになった。しかし、現在では、その語はもはや郵便局で使われることはない。現在使われているのは、 wesel pos 「郵便為替」という用語である。すなわち、語順をインドネシア語のDMの法則に合わせたのだ。おそらく、その新しい用語があらわれたのは、 wesel という語が pos という語と結合するだけでなく、例えば wesel bank 「銀行為替」のように他の語との複合語としても使われているからであろう。
現在、よく使われる外国語として、「写真複写されたもの」と訳される photocopy (英語)あるいは photocopie (オランダ語)がある。 foto という語は、現在すでにインドネシア語の中で生きている。一方、「複写」を意味する kopi という語は、使われることがあるとしても、まだ非常に限られている。DMの法則に合わせた訳語は、 kopi foto あるいは kopifoto という形になるはずだが、まだ一般化しておらず、かなり不自然な感じがする。そのために、我々のとるべき道は、その外国語をつづりを合わせるだけでそのまま採用するしかない。したがって、我々はそれを fotokopi (一語でつづる)と名づけ、その名詞から作られた動詞形は memfotokopi および difotokopi ということになる。
Surat itu tidak disalinnya, melainkan difotokopinya.
「その書類は書き写すのではなく、コピーした」
Dewasa ini banyak mahasiswa yang memperbanyak skripsi dengan memfotokopi saja.
「最近、卒論をコピーするだけで数を増やす学生が多い」
fotokopi が「正しいインドネシア語」であることは、問題ありませんが、
poswesel : 70
pos wesel : 603
weselpos : 277
wesel pos : 600
(google) こちらは、微妙です。どちらもある、というしかないですね。
by jaman (2005-10-25 23:11)