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ことばとその意味 (6) [正しいインドネシア語]

6. menelusur, menyelusur

  上の2つの形について、正しい使い方と意味をたずねられたことがある。この2つの語は、文中でたがいに置きかえることができるだろうか? 次の2つは、どちらが正しいのだろうか?
    Ia menelusuri pantai itu.
    Ia menyelusuri pantai itu.
  「彼は海岸をたどって行く

  menelusuri という語は、基語 telusur に接頭辞me- と接尾辞-i がついている。 telusur という語はジャワ語 tlusur から採られた。 menelusuri pantai は「海岸に沿って歩く」という意味であり、 menelusuri pembicaraan は「始めから話をたどる」という意味だ。

  menyelusuri という形は基語 selusur から生まれた。辞書には selusur という見出し語は載っていない。 susur という語があるだけだ。インドネシア語 menyusur および menyusuri は、ムラユ語(マレー語)起源だが、ジャワ語起源の menelusur, menelusuri と同じ意味で用いられる。例えば、
    Perahu itu berjam-jam berlayar menyusur pantai.
    「その船は何時間も、海岸に沿って航海している」
berjalan menyusur pagar は「垣根に沿って歩く」という意味である。

  selusur という形は、 susur に接中辞-el- を加えた形であろう。 selusur という語における接中辞-el- は、とくに機能を持たず、単に語を飾っているだけである。 gendang-genderang 「太鼓」、 suling-seruling 「横笛」、 cerita-ceritera 「話」の例と比べてみよう。 gendang, suling, cerita に接中辞-er- が加えられても、とくに意味は変わっていない。したがって menyelusur および menyelusuri という形も、 menyusur, menyusuri と同じ意味であると考えられる。以上のことから、 menelusur と menyelusur および menelusuri と menyelusuri は、同じ意味を持つ語として考えてよい。一方はジャワ語 tlusur から生まれ、もう一方はムラユ語 selusur (susur に接中辞-el- を加えたもの)から生まれたのである。

  menyelusuri という形は、ムラユ語地域で多く用いられていた。現在では、ジャワ語の影響による menelusuri, ditelusuri が多く用いられている。


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